1 良い「音」って何だろう
私の最初のオーディオ(と言えるかな)はホーマーの一石トランジスタラジオ。それも、当然、イヤホン式で(それもクリスタル といっても透明でオシャレなものではない)アンテナもビニールケーブルを10cmほど延ばしたもの。モチロン、AM放送のみ。ある時、毎日1度は立ち寄るおもちゃ屋さんに(みなさんもそうだったでしょう?)テレビ型の6石トランジスタラジオがあった(誰か持ってたら売ってー!)何とスピーカーから音が出ているではないか!
その音の良い事!こんなに素晴らしい音の出る物が世の中にあったなんて!(タイガースの花の首飾りが流れていた)今でもその時の感動は記憶している。きっと初めて蓄音機の音を聞いた人も、同じ感覚だったんじゃないかな?それから数年後、FM放送が始まった。その音を聞いた時も、同じ思いであった。良い「音」 良い「音質」 って何だろう。どういう意味だろう。 原音に忠実? S/N比の良い事? 歪がないこと?
海外の有名な楽器用アンプメーカーが何社かある。 アンペッグ、フェンダー、マーシャル、サン、アコースティック 等。どれも、個性的な「音」を持っている。そのサウンドを聞いただけで、どこのメーカーか、判断出来るくらいだ。当然、その個性的なユニットの形状から言っても原音には忠実ではない。 各社特有の「歪み」も、持っている。 それでも、私たちはインストメンタルからアンプまで、トータルな「音」に対して「良い音.」と判断している。
それはきっと、その音を「個性」としてとらえているのだろう。
以前、こんな事があった。ライブハウスの音響設備の総入替えの仕事を任された時の事。スピーカー、アンプはボーズ、ミキサーはYAMAHA。 当然、オーナーから「良い音だねえ」と言ってもらえると思いきや、しばらくたってから、なぜか「音が以前より良くない」とのリコール。早速、ステージに立ってサウンドチェックしても、何の問題もない。「歪みもなく、上から下までイイ音出てるじやん」 オーナーから話を聞くと。出演者から「以前の時の方がノリが良かったよなー」 との事。 「ノリ?」 ははぁ 「ドライブ感!ってやつね」そういえば以前のシステムってスピーカーはエルク、アンプはローランドのボーカルアンプだったよな。適度な歪み感、スピーカーボックスの心地よい「箱鳴り」が、確かにあった。 今の音は?確かにクリアーで歪みのない 音。でも、「色気」がない「ドライブ感」もない。音響機器も楽器の一つなんだよな。