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2007年09月 アーカイブ

2007年09月12日

1 良い「音」って何だろう

 私の最初のオーディオ(と言えるかな)はホーマーの一石トランジスタラジオ。それも、当然、イヤホン式で(それもクリスタル といっても透明でオシャレなものではない)アンテナもビニールケーブルを10cmほど延ばしたもの。モチロン、AM放送のみ。ある時、毎日1度は立ち寄るおもちゃ屋さんに(みなさんもそうだったでしょう?)テレビ型の6石トランジスタラジオがあった(誰か持ってたら売ってー!)何とスピーカーから音が出ているではないか!
 その音の良い事!こんなに素晴らしい音の出る物が世の中にあったなんて!(タイガースの花の首飾りが流れていた)今でもその時の感動は記憶している。きっと初めて蓄音機の音を聞いた人も、同じ感覚だったんじゃないかな?それから数年後、FM放送が始まった。その音を聞いた時も、同じ思いであった。良い「音」 良い「音質」 って何だろう。どういう意味だろう。 原音に忠実? S/N比の良い事? 歪がないこと?
 海外の有名な楽器用アンプメーカーが何社かある。 アンペッグ、フェンダー、マーシャル、サン、アコースティック 等。どれも、個性的な「音」を持っている。そのサウンドを聞いただけで、どこのメーカーか、判断出来るくらいだ。当然、その個性的なユニットの形状から言っても原音には忠実ではない。 各社特有の「歪み」も、持っている。 それでも、私たちはインストメンタルからアンプまで、トータルな「音」に対して「良い音.」と判断している。
 それはきっと、その音を「個性」としてとらえているのだろう。 
 以前、こんな事があった。ライブハウスの音響設備の総入替えの仕事を任された時の事。スピーカー、アンプはボーズ、ミキサーはYAMAHA。     当然、オーナーから「良い音だねえ」と言ってもらえると思いきや、しばらくたってから、なぜか「音が以前より良くない」とのリコール。早速、ステージに立ってサウンドチェックしても、何の問題もない。「歪みもなく、上から下までイイ音出てるじやん」 オーナーから話を聞くと。出演者から「以前の時の方がノリが良かったよなー」 との事。  「ノリ?」  ははぁ 「ドライブ感!ってやつね」そういえば以前のシステムってスピーカーはエルク、アンプはローランドのボーカルアンプだったよな。適度な歪み感、スピーカーボックスの心地よい「箱鳴り」が、確かにあった。 今の音は?確かにクリアーで歪みのない 音。でも、「色気」がない「ドライブ感」もない。音響機器も楽器の一つなんだよな。

サンプリング音と原音

 最近、昔のレコードを球アンプで聞いている。名盤と言われる ビートルズ 「レットイットビー」「アビーロード」 等。決して今のレコーディング技術からいえば「良い音」とは言えないだろう。  当時の録音方式も、マルチはアンペックス8トラックレコーダー。エフェクトも、鉄板や2トラレコーダーを利用した、当然オールアナログ方式。 でも、今だにこれ以上の名盤はないと言われている。 んー 長時間聞いていても疲れない。 テープヒスノイズも 聞こえるのは最初だけで、すぐに音楽の中に溶け込んでいってしまう。 最近のCDってノイズもないし、下たら上まで常にフルレベルだもんなー。ベースでもシンセ音でも細かいディテールまではっきり出ていて、全ての音が粒立って耳に入ってくる。 ボイスレンジも広い。 が、長時間聞いていると、何故か耳がキンキンしてくる感じ。
 自然界には無音の空間って無いらしい。どんなに静かだと思っても、虫の音、風の音、川のせせらぎ、等々、いろんな音が空気がある限り、耳に入ってくる。 都会でいえば、車の音、電車の音、エアコン、冷蔵庫等、電気製品の音。 皆さんも、どんなに静かだなと思っていても、空調が止まった瞬間、その音の存在に気づき、何か違和感を感じた事ってあるんじゃないかな。 (全くの無音状態って不安な感じがするよね)  テープヒスノイズや、ピークレベルの飽和状態も、電子音のカドを丸めて、同時に重なりあう楽器音をまろやかにミックスしてくれる、ごく自然な効果のように思える。 
 サンプリング音やシンセ音で作業をしていると、だんだん耳が疲れてきて音程が合っているのかどうか判らなくなってくる事がよくある。そんな時、私は生音のアコースティックギターや、エレピの音を使ってみる。 すると 何故か音程が良く聞き取れるようになるから不思議。サンプリング音はどんなに細かく割っても、所詮は波形を「01」のデジタルで記録してそれを組み立て直した音。人間の「耳」の錯覚を利用した、映像でいえば、フィルムやビデオフレームと同じなんじゃないかな。  人間の視覚や聴覚 「脳も含め」って、とても高度な能力を持っていると思う。 ビデオでも、1/30秒フレームの中に入れたメッセージや、音楽の中に全く聞こえない程度のレベルで記録したメッセージを 「サブリミナル効果」 として記憶していたりする。 たとえば、1曲中 約200回は打たれるスネアの音。これも、どれ1つとっても 同じ音はない事を聴覚は判断できる。 ちなみに、Lchに1つのスネアの音、全く同じタイミングで Rchにもう1つのスネアの音、 これを同時に聞いてみよう。 2つ別々に聞こえる。 もし同じ音を L R に振り分けて聞いたら、当然、センターに1つの音として聞こえるよね。 また、同じ3コーラス構成の曲でも、1コーラスを録り それを3回レコーダーでコピーしたテイクと、同じ3コーラスを全て演奏したテイクとでは、何故か不思議と印象が違う。 「人間の聴覚の能力って 想像以上に優れているんだなー。」 デジタルの音や、ビデオ映像の中で仕事をしている私たち。せめてオフの時くらいデジタルサウンドから放れ、アナログの音や自然界の音を聞いて、「耳バケーション」とりたいですね。

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